「してもらう」から「自分で動く」へ ― 義母の身体に起きた変化

先日、数週間ぶりに妻の母に会いました。

以前から、足腰が弱ってきたことを本人も気にしていました。

膝や足首にも痛みがあり、週に2〜3回ほど整骨院へ通い、マッサージなどを受けていたそうです。

ところが最近、その様子が少し変わりました。

目次

久しぶりに会った義母

数か月前から近所の運動型のデイサービスへ通い始め、夏頃からは週2回ほど安定して通えるようになったのです。

そこでは、トレッドミルで歩いたり、フィットネスバイクをこいだり、映像を見ながら身体を動かしたりするそうです。スタッフの方に見守ってもらい、休憩を入れながら約3時間を過ごします。

先日会ったとき、義母はこう話していました。
「身体がよく動くようになったから、もう前みたいに揉んでもらわなくてもいい感じ」

本人の話では、膝や足首の痛みもほとんど気にならなくなり、食欲も出てきたとのこと。以前より元気そうに見えました。だから、通っていた整骨院にも通わなくなったそうです。

もちろん、一人の経験だけから「運動をしたから痛みが改善した」と原因を決めることはできません。
ただ、定期的に身体を動かすようになった時期と、本人が身体の変化を感じ始めた時期が重なっている。
そのことは、とても興味深く感じました。

「してもらう」時間から、「自分で動く」時間へ

今回の話で印象に残ったのは、マッサージが良い、悪いということではありません。
必要なときに人の手を借りることは大切です。治療やケアが必要な場面もあります。私たちの仕事もまさにそうですから。

でも、人に身体を整えてもらう時間と、自分自身で身体を動かす時間は、少し性質が違います。

歩く。ペダルをこぐ。立つ。座る。手足を動かす。
そうした動きの中では、筋肉だけでなく、関節、神経、呼吸、循環、バランスなど、身体のさまざまな仕組みが一緒に働きます。これはとてもすごい体のシステムなんです。

誰かに「してもらう」ことから、「自分で動く」ことへ。
義母の変化を見ながら、この違いを改めて考えました。

運動すると、筋肉だけが働くわけではない

運動についての研究も、この数十年でずいぶん変わってきました 🔗。
筋肉は、身体を動かすためだけの組織ではありません。

現在では、骨格筋は運動に伴ってさまざまな生理活性物質を放出し、他の組織と情報をやり取りする「内分泌器官」としての側面も研究されています。

筋肉から放出されるものは「マイオカイン」と呼ばれます。
さらに最近では、運動に応答して筋肉だけでなく、骨、肝臓、脂肪組織などさまざまな組織から生じる物質を広く「エクサカイン」と捉える研究も進んでいます。

運動によって身体の中で何が起きているのか。
その全体像は、まだ十分に分かっているわけではありません。
それでも、「身体を動かす」という行為が、単に筋肉や関節を動かしているだけではないことは、少しずつ見えてきています。

高齢になっても、身体を動かす意味はある

WHOの身体活動ガイドラインでも、高齢者に定期的な身体活動が勧められています。
有酸素運動だけでなく、筋力、バランス、協調性を含む活動も重要とされています。

ただし、大切なのは「たくさん運動しなければ意味がない」と考えないことです。
年齢、体力、病気、痛み、生活環境は人それぞれです。持病や転倒リスクがある場合には、医師やリハビリテーション専門職などに相談しながら、安全に行う必要があります。

義母の場合も、スタッフの方に見守ってもらえる環境だからこそ、安心して続けられているのでしょう。
続けられる環境を作ることも、運動そのものと同じくらい大切なのかもしれません。

まずは5分でもいい

義母がデイサービスで行っている運動は、約3時間の滞在の中で休憩を挟みながら行うものです。
ですから、「毎日5分動けば同じ効果が得られる」という話ではありません。
でも、普段ほとんど身体を動かしていない人が、いきなり長時間の運動を始める必要もありません。

WHOも、何もしないより少しでも身体を動かす方がよく、現在あまり活動していない人は、少ない量から始めて徐々に増やすことを勧めています。
だから私は、日頃あまり運動していない方には、

まず5分、気持ちよく身体を動かしてみる 🔗。

そこから始めてもよいと思っています。
治療を受けている時間より、自分の身体と過ごしている時間の方が、はるかに長い。

誰かに「してもらう」ことが必要なときもある。
でも、自分の身体を自分で動かすこともまた、私たちが持っている大切な養生の一つです。

義母の元気そうな姿を見ながら、そんな当たり前のことを、もう一度教えてもらったような気がしました。

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鍼灸師 国際気功師
山本浩士