刺絡(しらく)という技法

鍼術に「刺絡(しらく)」という技法があります。

主に血や気が強く停滞した時、鍼で皮フを突いて血を絞りだす治療法です。

西洋医学の「瀉血」とは異なり、鍼灸師がおこなえる技術の一つです。

三稜鍼(さんりょうしん)と呼ばれる特殊な鍼を用いることが多いのですが、太めの鍼でも十分目的は果たせます。

学生時代、大先輩の鍼灸院へ勉強に行った際にこの刺絡を始めてみました。
その時は腰痛か神経痛の男性でしたが、腰から血を絞り出したあと、その方は「スッキリして痛くない!」とスタスタ歩いたのが印象的でした。

卒業後、神戸の先輩に「刺絡は鍼灸師の大事な技術のひとつだから、ぜひ実践してこの技術を伝えて欲しい」と言われたことは、今でもよく覚えています。

関西で開業していた時は、なかなか治らない痛み、原因不明の皮膚病やシモヤケ、急な発熱によく用いました。

こういう場合、病院に行かれるのが殆どですが、鍼に来られる方も少なくありません。

熱感や痒みがあると、それがスーッと引いていくと感じられる方が多かったです。

東京では、主にアトピーで炎症がひどい場合に用いています。

最近では、急に悪化した方に刺絡をして帰しました。
後日来られた際に、刺絡をされると徐々に痒みが減っていったんです!!と教えてくれました。

今も、病院での治療と、うちでの漢方薬と鍼灸を併用していますが、刺絡の効果を感じてもらえたのは嬉しかったですね。