先日、肘頭骨折に対する鍼灸治療の話と、肘頭骨折に対する漢方と鍼灸治療〜その後〜を書きました。
肘の骨折に対する、鍼灸と漢方での治療について書いてきましたが、今回で一旦区切りをつけます。
6月から、3名の肘頭骨折による可動域制限に対し、週1回ペースで鍼灸を実施してきました。
みなさん、病院での整復手術を受け、尺骨をプレートで固定され、週に3回ほどのリハビリテーションを受けています。
しかし、より早く回復させたいとの希望により、和気香風にて施術をおこなってきました。
その内の一人(男性)。
初診では、肘の屈曲は90度ほど。
最初は顔を触るのが困難でしたが、3回目の施術のあとから両手で顔を洗うことができるようになり、4回目のあとはボタンシャツを自分で留められるほどに機能回復。
病院でも「予定より1ヶ月は早い回復具合です」と言われたそうです。
とはいえ、まだプレートもボトルも残っているので、今後は月1の施術で様子を見ながら、プレートを外したあとでまた計画を立て直しましょう、ということで終了。
もう一人(女性)。
彼女も同じような状況ではありますが、屈曲にまだ不便さが残っていますので、今後は隔週ペースで施術をしていくことに。
最後の一人(女性)。
3名の中で、一番状態が悪い中でスタートさせました。
最初は、肘の屈曲90度にも届きませんでしたが、今は、90~80度ほどの屈曲角度です。
頭部、額を自分の手で触れられるようになり、指でなら鼻と口先までは触れるようになりました。
この方は、もう少し加療が必要と思いますので、引き続き週1ペースでの施術を継続させます。
どのような骨折、運動障害であっても、体の機能が目覚めれば回復は早まります。
骨が折れていても、周りの筋肉は動きますので、元気な筋肉をキチンと動くようにさせれば、折れていても動くようになります。
鍼灸では「経筋」といって、全身の筋肉や腱、膜、神経は連結して通じ合っていると考えます。
個人差はもちろんありますが、動きの連鎖、連動を作っていければ、何もしないよりも回復は早まります。
これまで、怪我に悩むアスリート、格闘家への施術、動きの指導などもおこなってきました。
痛み、動作不良などがあることで練習や試合にも影響が出て、精神的にも悪影響の出ることは少なくありません。
一般人においても、日常生活に支障が出ることは、精神衛生にもよくありません。
今回は、短期間で肘の動作が改善することで、ADL(日常生活動作)が改善し、仕事や趣味に良い影響がみえました。
それはつまりQOL(生活の品質)の向上にもつながります。
今回の肘頭骨折の治療は、私共にもとても良い臨床経験となりました。
ありがとうございます。
和氣香風 鍼灸担当
山本浩士