打身捻挫の鍼灸と漢方

こんにちは、鍼灸師の山本浩士です。

鍼灸というと「肩こり」「腰痛」。
そういうイメージを持たれる方がまだまだ多いのですが、打身や捻挫にもかなり効果があります。

私が関西にいた頃は、空手家、柔道家、古武術家、格闘家、そういう方もよく来られました。

空手やテコンドーの試合で、救護担当として現場で仕事をしたこともあります。

打身、捻挫、骨折、こういう相談も多く、時には「次の試合に間に合わせたい」という場合も少なくありませんでした。

そういう時に、鍼はよく効きます。
多くの場合は即効性があり、捻挫をしてパンパンに腫れた足首が、みるみる萎んでいったこともあります。

《一年間治らなかった捻挫》

登山中に滑落し足首を捻挫。
整形外科や整骨院に通って1年。
それでも足首の痛みがひかず、もう登山を諦めようと考えていた中年男性が来られました。

私が関西で開業していた時の話しです。

足首に、捻挫によく効く治療穴があって、そこへ鍼をして、技を施しながら1分ほど。
立ってもらうと、ずっと消えなかった足の痛みが軽減。
これを数回繰り返すと、ちゃんと歩けるようになりました。

その後、月2回ほどのペースで通われ、2ヶ月後には「近くの山に行ってみました!また登山ができます!」
と嬉しそうに話してくださいました。

このように、捻挫や打身、あとは骨折の後遺症などにも鍼をすると治りが早まるケースはよく体験できます。

《打身や捻挫の漢方薬》

漢方薬にも、打身や捻挫に使われるものがあります。
そのひとつが「治打撲一方(ちだぼくいっぽう)」です。

「気」の流れをよくする処方で、「気滞実熱打撲証」に用いられます。
腫れて熱感など「炎症反応」がある場合の漢方薬です。

いわゆる「駆瘀血薬(くおけつやく)」に分類され、血流をよくするお薬です。

これは日本独自の漢方処方です。

戦国時代の金創医(きんそうい:外科医のこと)から伝わり、江戸時代「香川修庵(医師、儒学者)」によって書に記され、こうして今も使われています。

《アスリートは気をつけて!》

武術家や格闘家、アスリートにもオススメしたいのですが、今の時代は「ドーピング」の問題もあるため、試合のある選手は控えてください。

治打撲一方には「丁字」が含まれており、丁子の成分である「ヒゲナミン」が禁止物質に含まれているからです。
漢方薬の中にも、ドーピング禁止物質の含まれていることがよくあるため、アスリートの皆さんは飲む前に必ず確認してくださいね。

それが無関係の方で、捻挫や打身、骨折などを早く治したい方は、ぜひ鍼灸と漢方を試してください!

《痛みや痺れにも漢方を!》

局所の痛みが消えない場合、この治打撲一方のほかにも「桂枝茯苓丸」や「通導散」といった漢方薬もあります。

桂枝茯苓丸は、生理痛や子宮内膜症などにも用いられ、通導散は便秘薬としてよく用いられます。

どちらも気や血の滞り、瘀を取り除く漢方薬ですので、打撲などにも用いられるわけです。

夫婦で監修した書籍「漢方薬絵ずかん(学研プラス)」の94ページから、関節痛などに良い漢方薬をいくつか紹介していますので、参考になさってください!

漢方薬は、症状だけを見ず、全体の体質や状態などに合わせて処方が変わります。
また、腕や足腰の痛みや痺れには、また別の漢方薬もありますので、まずはご相談ください