20年以上の股関節拘縮とその改善

先日、漢方薬の相談に来ていた方から、ご自身の股関節の動きが悪いという話を聞きました。
20数年前、交通事故にあって以来、特に片側の股関節が硬くなってしまったそうです。

リハビリやジムに通うも股関節に関しては変化があまりなく、医師やセラピストには、「これ以上の改善は望めないないので上手く付き合っていくしかない」と言われてきたそうです。

そんな話を聞いてしまうと、何もしない訳にはいきません。
改善しない!と断定出来るものではありません。
もちろん、改善する!と断定出来るものでもありませんが、少なくとも変化する可能性が体にはあります。
そこを引き出すことが出来れば、少しでも変化は出せるでしょう。

まずは状態を確認します。
試しに椅子の上であぐらをかいてもらうと、確かに股関節は開かず、外旋位は45度ぐらいで、膝は座面からかなり浮き上がってしまい、上体もグラグラと不安定です。

そこで、彼女に普通に座るよう指示。
そうして彼女の足首に軽く触れて、外旋の方向へ軽微な圧力を加えました。
(他にも同時に幾つかの刺激を加えます)
足首から股関節までは、骨や靭帯などで繋がっていますから、足首の操作で股関節に刺激を入れるのが目的です。

その状態を30秒ほど保ったのち、股関節の可動域を確認してもらうために、再びあぐらで座ってもらいました。
すると、本人の目で見ても、明らかに可動域が改善していました。

これを3度ほど繰り返すと、彼女の固まっていた股関節は開き、膝が座面に近づき、彼女は安定して座ることができました。
彼女は「こんなのは20年以上ぶりの感覚!」と喜んでいました。

もちろん、ペタッとつくにはまだ遠いですが、「改善しません!」と言われ続けたことは正しくは無かったことが立証されましたね。

立って歩いてもらうと、かなり足に違和感を感じたそうです。

それは、今まで上手に使えていなかった筋肉群が、20数年ぶりに動き始めたからでしょう。
力がまだ弱いはずなので、妙な違和感として感じているのだと思います。

あとは、これをしばらく続けながら、ウォーキングやトレーニングをしていけば筋力がついて、動きも安定すると思います。

そう伝え、今後しばらくは、漢方薬と並行して鍼灸治療をしていくことになりました。

効果や体感は個人差があるので、結果を保証するものではありませんが、こういう事例はたくさんあります。