傷寒と風邪とお灸

コロナやインフルエンザの予防や症状緩和に、お灸を役立てて頂ければ!と思い最近のコラムを書いていますが・・・すいません、今回も長文になってしまいました・・・

まずは現代における「風邪」の認識から。

感冒」と呼ばれる症状があります。
・くしゃみ
・鼻水
・咳
・発熱
・倦怠感
などの「急性呼吸器疾患」のことを指します。

通常の感冒を「普通感冒」といい、これを一般的に「風邪(かぜ)」と呼びます。

この風邪(かぜ)は、西洋医学における「上気道炎」「急性上気道炎」のことであり、医師たちは「かぜ症候群」と呼んでいます。

その原因のほとんどが「ウイルス」による感染症です。

原因となるウイルスは主に、
・ライノウイルス
・アデノウイルス
・コロナウイルス
が挙げられます。

3から8割がライノウイルスに起因し、次にコロナ、最後にアデノウイルスによる感染が、疫学的に多いようです。

もうひとつが「流行性感冒」です。
「流感」と略されるもので、普通感冒よりも急に出現し、一気に広がっていくため「流行性」と呼ばれます。

普通感冒よりも症状が重く、高熱や悪寒、全身の筋肉痛などが強く発現されます。

その主な原因が「インフルエンザウイルス」によるものです。

インフルエンザウイルスには、ABCの型があり、肺炎やインフルエンザ脳炎といった合併症を引き起こすことがあります

かつて流行った「SARS」は、コロナウイルスが変異した新種と考えられています。

コロナウイルスによる感染は、いわゆる「風邪(かぜ)」です。
しかし、ウイルスは進化、変化をするため特異なものが時々現れます。

新型コロナウイルスもそのひとつです。
日本で広がっている新型コロナウイルスは、ほぼ風邪の症状が出て終わると報告されています。

重症化しなければ、ただの風邪です。

しかし、重症化しやすい性質を持っているため、世界中で慌てて対応が取られはじめました。

この新型コロナウイルスにも、大きく2種類の型があるのがわかっています。
L型」と「S型」です。
さらにそれが変異し、4種類の型を持っているという話もあります。

世界中で爆発的に流行していますが、欧米と日本、ニュースを見ていても随分と症状や感染率に差がありますよね。
それは「型が違うから」だと考えられています。

同じ型であれば、日本もすでにこんな悠長なことを言ってられなかったかも知れません。

その辺は、今後の感染状況や研究結果を見ていくしかありません。
とはいえ、いま何もできないのか??といえばそんな事はありません。

日本には漢方薬と鍼灸といった、1000年以上の歴史を持つ伝統医療があります。

その大元の中国では、武漢でのコロナウイルス感染のため、伝統医療(中医薬と鍼灸)を積極的に研究、活用され、ワクチンも無い中で成果をあげている、との情報を色々と受けています。
(※先日書いたコラムも参照してください)

大事なことは、まず「感染しないこと」です。
当たり前ですが、その当たり前が疎かになっていた事は否めません。

次に「誰かに感染させない」ことが大切になります。

そうして、何よりも「重症化しないように身体の免疫システムを強くしていく」ことが要です。

また、風邪っぽい症状が出て、慌てて病院へ駆けつける方も増えています。
新型コロナの人もいますが、普通感冒の方も多くおられます。

そこの線引きは、今のところ確立されていません。
ですから、風邪かなと思ったら、まずしっかり休むことと、家族や友人の移さない徹底的な配慮が必要です。

これは、インフルエンザや風邪の時でも全く同じなので、言うまでもありませんが・・・

世に言う「医療崩壊」を防ぐためにも、正しい知識と冷静さと、それに伴った行動が必要ですね。

体力のない方や、免疫抑制剤などを服用されている方、慢性内臓疾患をお持ちの方などは、くれぐれも注意して過ごす必要がありますし、自分が感染源になることを防ぐ必要もあります。

・手洗いうがいの実施

これは言うまでもありませんが、意外と手洗いは雑になっていることがあるので、公衆衛生などで紹介されえる手洗いを実践されることをオススメします。

 

・出かける時はマスクを使用

コロナウイルスが空気感染をするなら、市販のマスクレベルでは意味がないと言えます。
粉塵やウイルスは、「拡散」して大気中に放出されると、振動(ブラウン運動)をしながら飛び回るそうです。
そのため、マスクの繊維のどこかに引っ掛かり、容易に通り抜けられないようです。
とはいえ、やはり完全ではないですね。
しかし、マスクをする利点は、飛沫を飛ばさないことや、誰かの飛沫を受けることを防ぐことであり、もうひとつは「気道、気管支や肺を冷たい空気や乾燥から保護する」ことにあります。

ちょっと喉が痛いかも・・・と少しでも感じられたら、マスクとネックウォーマーをして寝ることをおすすめします。

・板藍根や漢方薬で初期の段階で治してしまう

この辺は、以前のコラムも参考にしてください。
漢方薬が、コロナの症状緩和に役立っているのは、世界中の報告を見るとわかってきます。

・お灸の実施

和氣香風は鍼灸院でもありますので、やはりお灸を推奨させて頂きます。

 

次に、感冒と漢方医学の話をします。

現代医学の「風邪」と同じ漢字ですが、漢方医学では「風邪(ふうじゃ)」と呼びます。

人が病気になるのに、内外の区別があります。
自分の内部の問題で病気になるのは「内因性の病気」です。

身体の外にあるものが、身体の中に入り込んで病気になるものは「外因性の病気」です。

外から来るものには「寒気」や「湿気」「乾燥」それと「」などがあります。

目には見えないモノが、風に乗ってやって来て、身体の防衛網(これを衛気といいます)を破って中に侵入し、それで起こる病気があると考えました。

これを「風邪(ふうじゃ)」と名付けました。
「外感病」とも言います。

江戸時代、蘭方医たちがヨーロッパの医学書を翻訳する際に、漢方医学の用語も多く流用しました。

風邪」もそのひとつです。

当時は、顕微鏡などもなく、細菌やウイルスという概念はありませんでしたが、目には見えないけど風の中には何か悪さをするモノがいると認識されていました。

例えばそれが「鬼」や「悪霊」という認識とも繋がっていくわけですが、何にせよ「何かがいる」という認識です。

何かはわからないけれど、何かが外から体内に入ってきたんで「発熱」「悪寒」「咳」「嘔吐」「下痢」「全身倦怠感」を発症させます。

現代なら、その何かは「ウイルス」や「細菌」「そのどれでも無い原因不明のなにか」だと検査でわかるでしょう。

そんな事はわからなくても、すぐに対処する必要があります。
そうして、風邪に対する「漢方薬」が多く開発され、「鍼灸による風邪治療」も実践されてきました。

もちろん完璧ではありません。
多くの方が流感、感染症で亡くなりました。

それは現代も同じです。
ワクチンのあるインフルエンザであっても、年間に多くの方が亡くなっています。

こうした風邪のような症状を、専門的には「傷寒(しょうかん)」と呼びます。

症状は、普通感冒や流行性感冒とほぼ同じです。

ただ、その症状の範囲は広く、いわゆる風邪やインフルエンザ以外の感染症で、風邪症状を呈するものも含まれています。

この傷寒を専門的にまとめた書が「傷寒論」「傷寒雑病論」というもので、日本漢方の礎となりました。

傷寒論の本

その意味は「寒(かん)に傷(やぶ)られる」という意味で、「冷えが体内に入って病気になる」ということです。

昔から「冷えは万病の元」とも「風邪は百病の長」と言われてきましたが、これらは漢方で言えば「傷寒病」に入ります。

“外因として「寒風湿」という自然現象が、風に乗って「外邪・風邪(ふうじゃ)」として体内に入り込み、傷寒となって内傷(発熱や悪寒や倦怠感など)を引き起こす。” ということです。

傷寒論は、多くの時代で翻訳されたため、どの時代の書を読むか?で内容が少し異なります。

大塚敬節先生の「傷寒論解説」の序文を少し引用しますと、

「余の一族はもともと二百にあまるほどあったが、健安元年から十年もたたないのに、死亡するものが三分の二にも達した。その中で十中の七は傷寒にかかって死んだ。
それを救う手段の無かったことを悔い、古人の教えを広く学び、この傷寒卒病論を記した。」

とあります。

現代の中医学では、感冒症状の中で「寒気のあるもの」を「傷寒病」「発熱はしても寒気のないもの」を「温病」と区別して、それぞれの薬が作られます。

この辺の話も、いずれ書いていければと思いますが、今回は「お灸」の話に続けます。

ここまで、現代に「風邪・感冒」と、伝統的な「風邪・傷寒」の概要について書いてきました。

江戸時代後期、日本各地に伝わっていた「灸治療」の伝承を集めて整理した「名家灸選」という書が作られました。

そのなかで、やはり「傷寒」についての治療法が記載されていますので、それらを引用してみます。

傷寒や陰毒による症状が極めて強く、薬などの効果がでない時は、すみやかに「臍中(へその上)」に灸すること三百壮。
また、気海、関元に灸すること二百〜三百壮。
手足の温暖になるのをもって効となす。

この「壮」というのは、ひとつの助数詞であり、据えるお灸の個数を言います。
どこに据えるか?によって艾の大きさも異なりますが、へそに灸をする時は、穴に落ちないサイズで固めるか、ヘソの上に薄く切った生姜やニンニク、あるいは穴に「塩」を盛り、その上で艾を燃焼させる方法がおすすめです。

せんねん灸タイプの場合、多分へその上は難しいので、手拭いのようなものをお腹にかぶせ、その上でお灸をすると良いでしょう。

小さな急須に湯を入れ、同じように布をかぶせたヘソの上に載せる方法もあります。

ドライヤーを使って温めるのも悪くありません。

前回アップしたコラムでも、気海などの経穴が勧められていました。

風邪の初期症状の緩和や、そもそもの予防をしたい方には「大椎」というツボへのお灸もおすすめします。

・全身疲労
・食欲不振
・嘔吐
・感冒
・悪寒
・発熱
・首肩のこわばり

これらの諸症状にオススメの経穴です。

背中側、第七頸椎にあるツボで、悪寒や発熱を感じた時には「解熱」効果があるので、お灸でも良いし、ドライヤーの温風、シャワーの温熱などでしっかり温めてください。

ポイントは「かなり温める」ことです。

私は、20歳の時に、急な発熱をこの方法で解熱させて驚いた経験があります。

予防されたい方は、毎日ここへのお灸や温熱療法を実践されると良いですね。
あと「足三里」も加えてお灸をすればもっと良いですし、ヘソの下にある「気海」も使ってください。

長くなりましたが、皆様の健康、感染予防や緩和の役に立てれば何よりです。

「傷寒と風邪とお灸」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: ドライヤー灸で解熱 | 自由が丘の鍼灸治療・漢方相談「和氣香風」

  2. ピンバック: 風邪をひいてもパッと治る身体を作ろう!2 | 自由が丘の鍼灸治療・漢方相談「和氣香風」

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