ウイルス感染症と食薬

漢方薬は、様々な植物や動物、鉱物などを用いて作られます。
そこには、長い長い歴史の中で臨床研究された先人たちの智恵の結晶が宿っています。

日本の法律で定められた「漢方薬」以外に、薬という扱いはされないけれど、古くから漢方薬の一つとして使われてきた生薬がたくさんあります。

それは「食薬」とも呼ばれ、「食材」であったり「健康食品」という分類になってきます。
いわゆる健康食品やサプリメントと違い、れっきとした「漢方薬のひとつ」です。

最近、世界各国で話題になっている「新型コロナウイルス感染症」
ウイルスの性質を突き止め、ワクチンを開発して、そのウイルスに対して処置をするのは現代科学の研究者さんたちにお任せします。

和氣香風は漢方専門ですので、漢方の智恵から考える「ウイルス感染症対策」を少し書いてみます。


漢方の整体観・身体観・病理観からみると、細菌やウイルスは「外因」であり「外邪」という分類になります。

その中でも、悪性感染症や流行性感染症の類を「疫癘(えきれい)」とも呼びます。

細菌やウイルスという概念は無いのですが、何か目には見えないモノが外の世界から体内に入り込み、発熱や嘔吐や下痢、そうして死に至らしめる病を発症させると考え、それに対する治療法も考え出されてきました。

体調に合わせた漢方薬の処方がありますので、それは専門家に相談することをお勧めします。

インフルエンザなどの感染症を予防したい方、または軽度の発熱や喉の痛みを感じる場合、別のコラムでも書きましたが、「板蘭根」も試す価値があります。

「漢方の臨床応用」という書物などから引用してみます。

「板藍根」は、アブラナ科の菘藍、草大青の根を乾燥させて作られたもの。
味は苦
性は寒
作用は涼血解毒(清熱解毒)・清利咽喉・消腫

臨床応用として、流行性耳下腺炎、扁桃炎、インフルエンザ、麻疹、肝炎、日本脳炎
などに用いられてきました。

和氣香風にある板藍根は、エキスタイプ、板藍根そのものを煎じて飲むタイプ、お湯に溶かして飲むタイプなどがあり、ご希望に応じて販売しております。

 

それでも熱が引かない、そういう場合には「大青葉(たいせいよう)」あるいは「白花蛇舌草(びゃっかじゃぜっそう)」を組合せます。

「大青葉」は、板蘭根と同じ植物の葉っぱの部分になります。

味は苦
性は大寒
作用は板蘭根と同じですが、こちらの方が「大寒」つまり冷やす作用が強いため、より「高熱」の場合に用いられてきました。

「白花蛇舌草」は、別の植物を乾燥させたものです。

味は苦・甘・淡
性は涼・寒
作用は清熱去瘀・消癰解毒

虫垂炎(盲腸)や膀胱炎、急性腎炎などに用いられています。
板蘭根などとの違いは去瘀や消癰といった作用がある点です。
蛇や犬に噛まれた場合の解毒や、骨盤内の疾患(子宮や卵巣のトラブルなど)、最近では各種の腫瘍に対する作用が注目されています。

コロナが心配な方は、手洗いやうがいといった予防の基本を徹底し、食事や睡眠、過労といった「生活習慣」の改善も実行し、かつ「板蘭根」でのうがい、服用もされると良いかと思います。

その上で、少し熱がある、喉が痛い、そういう症状を感じられるなら「白花蛇舌草」や「大青葉」も同時に服用してみてください。

さらに「お灸」も実践されると、免疫力のアップに繋がりますのでオススメ致します。

もちろん、病院での検査も可能な限り行って頂くことをお勧めしますが、漢方薬もひとつの自衛手段として頭の片隅に置いておければ、いざという時にきっと役立つことかと思います。

いつ収束するかもわからず、不安ばかりが蔓延していますが、生活習慣を変える良いチャンスでもありますので、前向きに楽しく日々を過ごしていきたいものですね。

和氣香風では、漢方薬と鍼灸の智恵で、少しでも多くの方の症状や不安、悩みの改善のお手伝いができればと考えています。
まずご相談ください。