鍼灸は、⾦属製の鍼と、よもぎで作られた艾を⽤いる施術法です。
鍼灸と⼀括りにされますが、鍼と灸は別の資格です。
鍼灸は技術職のため、知識よりも⾝体操作と⾝体感覚が重要になります。
例えば「氣を補う」時に、漢⽅薬の場合はそれに⾒合った⽣薬を選択して処⽅しますが、鍼灸では技術によってそれを⾏います。
ここが漢⽅薬との違いと⾔えます。
鍼灸もまた、漢⽅薬と同じくさまざまな中国の医学書や技術を輸⼊し、⽇本⼈にあう形に改良されてきました。
特に鍼は、錬⾦術の発達と共に、より細い鍼を作ることが出来るようになり、⽇本⼈の肌にあう鍼が開発されてきました。
例えば、現代の⽇本では「美容鍼」をうける⼥性が増えていますが、特に顔は痛みがでやすく、また出⾎もしやすい場所です。
そのため、より細くて短い鍼が作られており、中には蚊の⼝より細いものもあります。
室町時代頃の話ですが、ひとりの僧侶が考案した「打針」という技術があります。 それは、太い鍼を⽊槌で叩き、お腹に施術をするものでした。
その僧侶の名を「無分」と⾔い、彼から学んだ弟⼦たちが各地で広めました。 しかし、ひとつ問題点がありました。
それは、鍼が太く痛みが出ることでした。
そこで、打針の技術に、細い鍼を組み合わせる⽅法が考えられました。
⾦属製の細い筒に鍼を⼊れ、それを⽊槌ではなく指で叩いて施術を⾏います。 これを「管鍼」といいます。
それまでの中国伝来の鍼術と、⽇本発祥の打鍼術との融合です。
また、細い鍼は折れ曲りやすいのですが、管に⼊れることでその問題を減少させる事にもなりました。
⽇本で鍼灸を受けると「ポンポン」と叩いて鍼をされると思いますが、それが管鍼術です。
こうして、⽇本独⾃の「管鍼」が誕⽣し、江⼾時代に広く流⾏しました。
これは、現代の⽇本でも主流の技術の⼀つで、和氣⾹⾵でもこの管鍼術を多⽤しています。
灸は、よもぎを乾燥させ、すり潰して作る「艾」を⽤いる⽅法のことです。
この艾を、さまざまな⼤きさに丸め、線⾹などで⽕をつけ⽪膚に熱を加えます。
江⼾時代には、⼤名や公家はもちろん、庶⺠にまで広く⽤いられた治療法のひとつです。
鍼は氣を動かし、灸は⾎を動かすもの。
経絡や経⽳、病名や知識に執着せず、知⽣きた体から全てを感じ取り、必要な場所に必要な
術を施すこと。
師匠から学んだこの考えを基礎として、鍼や灸、外気功などを使い分けています。