李氏朝鮮時代に実在した鍼医「許任(ホ・イム)」を題材とした架空のドラマです。
許任は、有名な医師「許浚(ホ・ジュン)」の弟子であり、許浚に鍼の腕前を認められた人物です。
ホジュンはドラマで放映されたんで、見た方も多いですかね?
僕はまだ見た事無いんですが😅
以前見た「馬医」は面白かったです。
いま見ている「医心伝心」は、李氏朝鮮と現代韓国をタイムスリップしまくる内容ではありますが、鍼のシーンが興味深いです。
九鍼を使いこなし、脈診と腹診で適格に臓腑経絡の変調を見定め、サッと鍼を打ち込んでいく。
なかなか見ものです。
日本で「透刺」と呼ばれる技法があります。
A点に鍼を打ち、離れたB点まで差し込んで行くという強刺激の技術です。
例えば、膝の外側から鍼を打ち、反対側まで到達させるという感じです。
私が学んだ時の注意点として「貫通させてはいけない」ということでした。
深く、長く刺すけれど、完全に突き抜けないように皮下で留めるわけです。
このドラマでは、この透刺がよく出てくるんですが、みごとに貫通させてます!
これには驚きでした!!
手首内側にある「内関穴」に鍼をして、そのまま真裏の「外関穴」にまで透し、さらに貫通させるシーンが何度かでてきます。
まさに串刺しです。
いやー驚き。
それ以外には、刺した鍼を「捻る」「弾く」といった、中国や日本ではお馴染みの技法も使われています。
ますます、許任の残した書を読んでみたくなりました。
師匠の許浚は、韓国医学書で有名な「東医宝鑑」を書いた人物ですが、薬が中心で鍼に関してはサラッと整理した程度。
その後、弟子の許任が書いた「鍼灸経験方」という鍼灸専門書の登場で、朝鮮の鍼が飛躍的にアップしたといいます。
この「鍼灸経験方」は、調べると八代将軍徳川吉宗の時代、享保十年(1725年)に和本として複製されたようです。
ドラマでは、倭軍が攻めて来るという内容も出てくるので、ちょうど豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役:1592年〜1598年)のころでしょうから、随分経ってから日本に輸入された書なんかも知れませんね。
鍼灸経験方・・・手に入れられるかな?思って調べましたが、やはりそうそう出てきませんね😅
オリエント出版の古典シリーズにならあるかも知れません。
ちょっと調べてみたいと思います。
京都大学貴重資料アーカイブで、複製された鍼灸経験方を見ることができます。
興味ある方はぜひどうぞ!
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003420
日本で「漢方」というと、どうしても「漢方薬」「湯液家」になり、鍼灸医はなかなか出てきません。
日本にも、優れた鍼医はたくさんいました。
武士や侍の話も面白いですが、もっと漢方医や鍼医を題材にしたドラマや映画が出来て欲しいなー。
そんなことを久々に思っています^_^