こんにちは、鍼灸担当の山本浩士です。
先日の朝のこと。
最寄駅前で若い女性が倒れていまして、3名の警察官が介助しているところに出くわしました。
警察官がついているのと、救急の手配中のようでしたので手伝わずに改札を入りましたが、すれ違いざまに女性を見ると、出血はなく、意識も少しある様子で安心しました。
ただ、顔は青白く、唇の色も薄い感じでした。
低血圧か、癲癇発作か、目眩か・・・
外は暑いのに、冷えた感じのする女性でした。
《四気調神大論から見た夏の養生法》
黄帝内経という古代の医学書には、さまざまな事が書かれています。
「天人合一思想」といって、宇宙を含めた大自然と人は一体であるという思想をもとに、その法則や、法則に従った国の在り方や人の生き方、治療法などが書かれています。
その中に「四気調神大論」という項目があり、春夏秋冬の法則と、どうやって暮らせば良いか?というアドバイスが書かれています。
夏のところを抜粋してみます。
夏三月 此謂蕃秀 天地氣交 萬物華實
夜臥早起 無厭於日 使志無怒 使華英成秀 使氣得泄 若所愛在外 此夏氣之應養長之道也
逆之則傷心 秋為痎瘧 奉收者少 冬至重病
逆夏氣 即太陽不長 心氣内洞
夫四時陰陽者 萬物之根本也
所以聖人春夏養陽 秋冬養陰 以從其根 以從其根 故與萬物沈浮於生長之門
漢字から、なんとなくニュアンスは取れると思います。
《夏の養生のコツ》
四気調神大論にもあるように、夏(立夏〜立秋)の間は、自然界のエネルギーは元気に交流をし、草木は花を咲かせ、実をつけるものです。
スーパーへ行くと、色とりどりの野菜や果物が並んでいてワクワクしますね。
人も同じで、夏は少し外に向けて活動すると良いです。
イライラ怒らず、夏の暑さを毛嫌いせず、楽しく和かに過ごすのがポイントです。
真昼を避け、早朝と夕方に軽く汗をかくような運動もオススメです。
もちろん、熱中症対策はしましょう!
養生法の基本は、自然界の環境に合わせて生きることなので、日没に合わせて少し遅めに寝て、日の出に合わせて少し早く起きると良いですね。
もちろん夜更かしはダメですよ。
春夏は「陽気」が強くなり、何もせずとも「発汗」し、体力を消耗します。
だからこそ、春夏は特に「陽気」を養うものとされ、冷たいジュースやアイス、冷麺なんかを食べ過ぎたりせず、「温かいもの」を積極的にとりましょう。
夏は、ただでさえ発汗して身体が冷えるうえに、食べ物で冷えると内臓まで冷えてしまいます。
下痢や夏風邪の原因にもなるので要注意。
私達夫婦は「白湯」「熱いお茶」を夏でもよく飲みます。
熱いものを飲むと、体温があがって汗もかき、案外「涼しさ」を感じるものです。
江戸時代における「涼」の取り方の一つに「木陰で熱い茶を飲む」というのがあったそうです。
私も、アイスコーヒーではなくホットコーヒーを飲んでいます。
また、外気温と室内の温度差もポイントです。
外は暑く、室内は冷房で寒い!というのが現代社会でよく見られます。
「クーラー病」なんてものもあるほどです。
気温差が激しいと、それに対応する身体は負担が大きくなります。
自律神経の働きも過剰になるため、色んな心身トラブルが起きやすいのも夏の特徴です。
◇だるい
◇やる気が出ない
◇お腹が痛い
◇食欲が出ない
◇夏バテ
◇熱中症
病気では無いけれど、こういう問題が毎年起こります。
和服でも、麻や綿で作った「夏用の羽織り」があります。
見た目は暑苦しいですが、直射日光が直に肌にあたるよりずっと涼しく感じます。
通気性の良い薄手の羽織りもの、首巻きを常備しておくと良いですね。
「夏は陽気を養う」ことが大事ですからね!
身体の基本は「頭寒足熱」です。
暑さで頭がぼーっとするのは危険です。
かと言って、冷たいジュースをバンバン飲むと、逆に身体が火照る可能性も高まります。
首から下は温めながら、おでこや耳を冷やすと良いです。
夏の陽気は強いため、養生も難しい季節ですね。
《夏の注意点》
夏の暑さは「心臓・循環器」に負担をかけます。
心不全なども起きやすい季節です。
漢方では「夏=心」と表現されますが、まさにそうかと思います。
季節に従った生き方は大事ですが、「強すぎる陽気」は避けたいところ。
「夏だから活発に動かなきゃ!」というのも違います。
私は高校生の時に「アメリカンフットボール部」に所属していました。
夏休みも、朝から夕方までみっちり練習の日々でした。
ある日、他校の生徒が真昼の練習で倒れ、死亡するという事件がありました。
それ以降、夏は12時〜15時まで(確か)の練習は禁止となりました。
◇強い陽射しは避ける
◇息の上がるような運動は避ける
◇汗のかきすぎは避ける
◇冷たい飲食物のとりすぎは避ける
◇冷たい風に当たりすぎることは避ける
何事も「加減が大事」だと言うことですね。
「お風呂」も要注意です。
心臓への負担を避けるなら、夏はシャワーにして、あとは「じっくり足湯」にしてみましょう。
夏場の朝礼で倒れる女子もよく見かけましたし、熱中症で倒れた人の介抱をしたこともあります。
今でも覚えていますが、夏場のヒーローショー(以前の仕事のひとつ)も本当に大変でした・・・
こういうことも考え、自然の従った暮らし方を工夫してみましょう。
《夏至を過ぎ》
6月21日。
夏至を迎えました。
「陽気」の最も高い日で、この日を境に「陰気」が増えてきます。
「陰遁」という季節に入り、今から「冬至」に向かって進んでいきます。
陰気が増えてくることで、陰陽の気がどんどんぶちかり、混ざり合うため、天候も激しく変わります。
蒸し暑い日も増えてくるでしょう。
黄帝内経にも書いてありますが、夏に不摂生をすると、秋冬に病気や不調を起こし兼ねません。
無理の無い範囲で、楽しく夏を過ごしていきたいですね!