新型コロナウイルス感染症で、世界各地が揺れ動いています。
イタリアジェノバの友人たちは、早い段階で「外出禁止!」と通達があったとメールがきました。
ポーランドの友人からも、明日から2週間は自宅待機をしなければいけないと。
オーストラリアの友人からは、鎖国状態に入ったと聞き、アメリカからも同じような報告があり、鍼灸クリニックでの仕事も禁止されたため自宅待機だ、と教えてくれました。
コロナウイルスは風邪(ふうじゃ)の一つです。
アデノでもインフルでもライノでも、風邪(ふうじゃ)は風邪です。
ただ、社会はそう簡単には受け取らず、予想以上の大騒動になっています。
東京オリンピックも、やはり延期となりました。
いずれ、欧米のように「外出禁止令」が発令されるかも知れません。
とにもかくにも、守るべきは「我が身」と「家族」です。
私自身は、毎日「お灸」を実践しています。
以前、お灸の話の中で「原志免太郎」医学博士のことに少し触れました。
その原先生の書を、今年に入ってようやく入手。
その研究成果はとても面白いものです。
明治から昭和にかけて、お灸を現代科学的に研究を試みる先生方がおられました。
原先生もその一人。
・お灸をすると赤血球が増加する
・お灸をすると白血球が増加する
・お灸をすると免疫細胞の貪食機能が活性化する
このような研究をもとに、当時の国民病であった「結核」にどうお灸が役立つか?を研究されてきました。
結核はウイルスではなく「結核菌」によって起こる病気ですが、大事なのは「血流の増加」と「免疫細胞(白血球)の強化」なのはウイルス感染症と同じです。
書物から引用します。
ー施灸の白血球に及ぼす影響ー
家兎に十点(十箇所)七壮(米粒くらいの小さな艾を7個)の灸をただ一回施し、施灸直後より時間的に採血して、約1週間にわたり、その数の消長を検索するに、施灸直後より多少増数し、第八時間前後最高に達し、満二十四時間高値を継続し、第三日目より多少減少するも、なお数日間増加を持続するものである。
ー以上ー
昭和4年の書のため、ちょっと読みにくいのですが、要は・・・
お灸をすると(十箇所に7個ずつ。これを1度行う)、その直後から白血球が増加を開始。
15分後には増加が顕著となり、1〜2時間ほどで平均数の2倍。
4〜5時間では多少減弱は見られるものの、8時間〜12時間で再び増加し、2.5倍以上に達する。
24時間でピークを迎え、3日目には減弱するもまだ増加状態は更に数日キープされる。
同じことを毎日4日継続させると、その作用はより長い日数継続される。
というような内容です。
あとは、結核患者への治験が色々と書かれており、感染症に対してお灸を継続する利点が述べられています。
原先生は、毎日ご自身の「足三里」にお灸を続け、108歳まで生きられたことで有名です。
実際に、原先生の書を手に入れ、こうして拝読出来ることは有難いと感じています。
また、現在では以下のようにまとめられています。
自律神経などに作用して、内分泌に影響を与えることが確認されており、局所の火傷から出る加熱蛋白体(ヒストトキシン)は、血中に吸収され、各種幼弱白血球が増加して免疫機能が亢進することが認められている。
・増血作用 – 赤血球を増やし、血流を良くする
・止血作用 – 血小板の働きを良くし、治癒の促進を促す。
・強心作用 – 白血球を増やし、外敵から防御する。
原先生の研究などで用いられるお灸は、直接灸や透熱灸と呼ばれ、皮膚を直接焼く伝統的灸法で、いわゆる「せんねん灸タイプ」とは異なります。
ただ、そのタイプが無効か?といえばそんなことはありません。
大事なことは、「お灸をした部位でしっかり熱を感じ、体の中に染みてくる感じが出るよう施灸する」ことと言えます。
研究のように「十箇所」もする必要はないことも、今ではわかってきていますので、1箇所〜5箇所くらいまでの範囲で、心地よい熱さを感じるまで繰り返し、それを出来れば毎日継続してみてください。
少なくとも、コロナの脅威が去るまで、あるいはワクチンなどが開発され一般で誰もが治療を受けられるぐらい、社会が落ち着くまでは・・・
原先生も、「国民保健の新提唱〜新保健法としての「三里の灸」〜」を提唱、実践されて長寿を全うされました。
原先生はこうも書かれています。
医師はいつの世にか、忌まわしき生存競争の結果ではなく、食えなくなる時節は到来するに相違ない・・・まだまだ大分距離は遠いが・・・。
病院と刑務所と感化院などという建物は、蜘蛛の巣を張った昔の遺物として見学する時代を来たらしめねば嘘だ。
(中略)
国民の総動員を以って、病魔を征服せよ。
断じて病に負けるな。
「三里の灸」は、正に捷病保健の一武器であることを忘れてはならぬ。
ー皇記2589年版 灸法の医学的研究 医学博士 原志免太郎著 ー より。