リモート鍼灸

2017年に自由が丘で開業して以来、全国各地、世界各地から多くの方に鍼灸や漢方相談にお越しいただいております。

その中で、いわゆる「遠隔治療:リモート鍼灸」の依頼をされる方もおられます。

かつて、電話は有線でしたが、今は無線が当たり前です。
さらに、オンラインの進歩により、無線での情報通信が簡単に行われるようになりました。

目次

遠隔治療

遠隔治療というのは、これと似ています。
鍼を物理的に体に接触、あるいは刺すのは「有線」です。

物理的、生理的な反射、反応を賦活させます。
遠隔治療は「無線」による情報操作といえます。
私が鍼灸学生だった頃、実技担当の先生の誘いで、ある伝統鍼灸の夏期講習に参加をしました。その中で、ある盲目の先生が実技指導をされた時、「今、肩こりのある人はいますか?」と声をかけ、参加者のひとりが手をあげ体験されることになりました。
その先生は、柔らかくその方の体に触れながら、「こういう肩こりには、鍼を皮膚面から数ミリから1センチほど離した方がよく効く」と言い、鍼を皮膚に接触させることもなく、見事に肩こりと首の痛みを数秒で改善させるのを目の当たりにしました。

この話を、私の気功の大先輩にすると、「それは外気功と同じだね。1ミリ離れて効くのなら、10センチ離れても、10メートル離れても、1000キロ離れても同じことだよ。要は触れるか触れないかだけだから」とサラッと言われ、得心したことを今も覚えています。

私は、幼少期から武術修行に打ち込み、内家拳と呼ばれる気功を取り込んだ中国武術も長年学んでいました。
中国人の先生は医者であり、代々、家伝の気功も受け継いでおり、よく稽古後に生徒の不調を外気功(気功治療)で治しているのを見ていました。

その影響で、こうした話には何も違和感がなく、むしろ鍼にもそういう技術があるのだと学ぶことができました。
その後、気功の先輩から、鍼灸師に必要な技術をいくつか学び、それを「リモート鍼療」という形で実践してきました。

臨床例

開業してまもない頃、バンクーバーに留学中の方から「怪我をして膝が痛むので、何か治療できませんか?」とメールがありました。
ちょうど手が空いていたので、私はその場でその方の体の情報(気の情報)を読み、「多分、この部位とこの部位に問題がある」と感じたままを伝えると、「そのとおりです」と返事がありました。
そこで、そのまま10分ほど、痛みのある部位を中心に「気が流れる」ように処置を行い、最後に怪我をした部位に「気の鍼」を刺しました。
それから「治療は終わったので、一度歩いてもらえますか?」と促すと、数分後に「ほとんど痛みがなくなって歩けます!」と連絡がきました。

またある日、妻と外でランチをしていると、大阪で仕事をしている姉からLINEが来ました。
「同僚が、いま目の前でぎっくり腰になって、椅子から立つことも歩くことも出来ないからなんとかしてくれ!」と。
私は、その同僚さんの名前も知らず、会ったこともありませんが、「姉の同僚、目の前にいる」という情報から、その方の体の情報を読んでみることにしました。
すると、なんとなく気の流れの悪そうな場所があり、それが腰のある部位だと感じたのでそのことを姉に伝えました。
すると、「そこが痛いって言うてる」と返事がきました。
そこで、「その人に無理せず座ったまま、目を閉じて深呼吸しといて」と伝え、10分ほど、腰から背中、下肢へと気が流れるようにし、さらに脊椎から骨盤が動くように調整し、最後に気の鍼を数カ所に打つことにしました。
それから「とりあえず治療は終わったので、その人にゆっくり腰を動かして、立てそうなら立つように伝えて」と姉に言いました。
すると、痛みはまだあるものの、自力で椅子から立って、ゆっくり歩けるようになったそうです。
その時、その場は拍手喝采が起こったとのことでした。
「誰かに付き添ってもらって、近くの病院へ行ってね」と伝えて終わりました。

新型コロナが世界中を大混乱に陥れていた頃、あるイタリア人女性から連絡がありました。
その方の母親が、新型コロナに罹患し、その後遺症で体にさまざまな問題が起きていると言います。
現代医学ではもうできることはないと病院で言われたそうで、私に力を貸して欲しいとの依頼でした。
その方が、お母さんの写真を何枚か送ってきてくれていたので、その情報を元にお母さんの体の気の流れを調べ、違和感のある部位を取り除くように施術をしました。
10分の施術を、3日続けました。
その後、お母さんの体調が目に見えて回復し始めたそうです。
その間にも、連絡をくれた女性に「あなたにもできることがあるから、こういうことをやってあげてね」とセルフケアの方法をいくつかアドバイスしました。
その後、お母さんは後遺症もほぼなくなり、元気に回復したと連絡がありました。
そこには、その女性とお母さんが一緒に笑って写っている写真でした。

このほかにも、縁があってこのようなリモート鍼療をする機会が色々とありました。
ただ、今まではこれを表立って実施はせず、家族や友人、生徒たちといった身近な繋がりと紹介のみで引き受けてきました。
あくまでも、クリニックでの実際の鍼治療および往診を中心としてきました。
しかし、妻の入院及び今後の状況を考えると、往診をすることが難しくなります。
そこで、往診の代わりにリモート鍼療をやっていこうと決めました。
私は、iPhoneとMacBookを愛用し、大体のデータはiCloudに保存しています。
パソコンに保存してあるデータを、iPhoneで読み取り、情報を書き換えることもできます。もちろん、その逆も可能です。
なかなか便利な時代になりました。
こういうことと、遠隔気功、リモート鍼療と言うのは同じようなものだと思っています。

ただ、効果は個人差があるので保証されるものではありません。
しかしこれは、通常の医療についても同じことがいえます。

こういうことに抵抗がなく、それでも自分や家族の痛み、不調を改善させたい!と強く望まれる方にご利用いただければと考えています。

ご希望される方は、まずご相談ください。

鍼灸師 国際気功師
山本浩士