明け方、なんだかお腹が痛くて目が覚め、トイレへ行くと下痢でした。
変なもん、生もんなんて食うた覚え無いんやけどなぁ・・・
少し下腹部が痛かった程度で、それ以外の症状はありません。
トイレのあと、お腹の痛みも消えました。
~泄瀉~
漢方医学では、下痢を「泄瀉(せっしゃ)」とも言います。
そうして、明け方におこる下痢は「鶏鳴泄瀉(けいめいせっしゃ)」や「腎泄」「五更泄」なんて呼ばれます。
古来、泄瀉は「脾虚(脾の弱り)」から起こると考えられてきました。
慢性的な下痢、軟便という場合、この「脾虚」の人に多く見られます。
男性に多いように感じます。
(女性は下痢より便秘の方が多いですね)
元や明の頃になると、脾虚だけではなく「腎虚」「腎陽虚」から下痢をする、という考え方が出てきました。
そのため「腎泄」という言葉が生まれたんですね。
やがて、脾虚と腎虚の考え方がまとまり、「脾腎気虚」「脾腎陽虚」によって夜明け頃に下痢をする。
こういう考え方が出てきました。
夜に水分を多くとってしまい、陽気の不足から体内が冷え、一番冷え込みやすい明け方、鶏が鳴くころに下痢をしてしまう。
そう考えられるようになります。
まー要はお腹が冷えたんですね。
トイレへ行くときに、お腹を触診すると冷んやりしていました。
昨夜は雨で冷えていたのでクーラーはつけていませんが、サーキュレーターを回していました。
その風があたって冷えたのかもしれません。
その話を妻にすると、「とりあえず萬金丹飲んどき!」と言われ、早速飲むことにしました。
~お伊勢さんの名薬「萬金丹」~
和氣香風では、いくつかの和漢薬を取り扱っています。
和漢薬とは、純粋な漢方薬、中医薬ではなく、日本独自の薬草や考え方なども複合した伝統薬の総称です。
和漢薬の多くは「胃腸薬」ですが、使われている生薬に違いがあります。
その生薬の性質から考えると、例えば「熱を取って胃腸を治す薬」と、「温めて胃腸を治す薬」などに分類されます。
萬金丹は「阿仙薬」が主体で「桂皮」などを合わせた和漢薬で、後者(つまり温めて治す)になります。
ということで、わたしの今朝の下痢には良いということになりますね。
漢方薬の世界は奥深くて面白いですね。
あとは、お灸して温めることにします。
~下痢とお灸~
おまけで、お灸の話を少し。
お灸は「火の力」「熱の力」を借りる療法です。
つまり「冷え」からくる症状にとても良いものです。
もちろん、熱がある場合にも良いです。
それは「熱を以って熱を制す」という理論が成立するからです。
とはいえ、やはり「寒」「冷え」により良いのは明白です。
冷えからくる胃痛、下痢、腹痛、そういう症状があれば、お腹と腰をしっかり温めると良いですね。
下痢の場合によく使う経穴(つぼ)として・・・
水分
天枢
肓兪
梁丘
大腸兪
小腸兪
などがあります。
おへその上下左右(だいたい1センチほど)にお灸をしても良いです。
以前、「冷え」についてもライブトークでも話したので、ご興味ある方はご視聴ください。
あー、今夜も雨で冷えそうなんで、腹巻でもして寝ます。
和氣香風 山本浩士