もぐさを使わないお灸!?

ここ最近、お灸に関するコラムを多くアップしていますが、「もぐさが無いんです!」という声も時々頂きます。
すぐに買える環境にあれば良いですが、海外在住では入手困難ということも・・・

先日「ドライヤー灸」という事を書きましたが、もぐさが無くても出来ることはあります。

そこで今日は、もぐさが無い場合のお灸について書きたいと思います。

お灸の基本は「もぐさ」を使いますが、実は古くから「もぐさを使わないお灸」というのは存在しています。

その代表的なものは、
・紅灸
・うるし灸
・墨灸
・水灸
などです。

これらは「薬物灸」と呼ばれる特殊灸です。

紅花やうるしを、ツボに直接塗布します。
すると皮膚がかぶれて炎症が起こります。
それによって生体には、鎮痛や消炎といった生理反応が起こります。
これを狙った、治療法です。

墨灸や水灸は、生薬などを加工して作った墨や液体を経穴に塗布します。

特殊灸の墨灸

そうして、その上で艾を燃やして熱を加えます。
薬理効果+灸熱という組み合わせです。

私も、家伝の墨灸を伝授されましたが、その内容は秘密です。

どちらにせよ、一般家庭では難しいため、今回は参考にとどめ、別の方法を紹介していきます。

「線香灸」

これは、こういう名前があるわけではありませんが、わかりやすいように名付けました。

線香に火をつけ、経穴のそばに近づけ、熱さを感じたら離す、また近づける・・・を繰り返し、局所がポカポカしてくるか、皮膚が赤くなるのを目安とします。

いわゆる「棒灸」と同じです。

10年ほど前、アメリカ在住の友人のたっての依頼で、お灸を指導しました。
とうぜん「もぐさ」は手に入りません。
さらに「線香」もなかなか手に入らないと。
で、妥協案として提案したのが「タバコ」です。

タバコの熱で、指定した部位を熱くなるまで温めさせることを、朝昼晩の3回、これを結果が出るまで毎日続けさせました。
3日後に、どうにもならなかった症状が変わった!とお礼のメールがきました。

これもまた、艾を使わない灸法です。
熱を加えるという点では、「ドライヤー」も同じですね。
僕自身は、ドライヤーで発熱と悪寒を抑えた経験もありますからね。

「温石灸」
これは、つまり「ホットストーン」です。

温石灸・小豆袋

昭和に「澤田健」というお灸名人がいました。
澤田先生は、温めた石を背中や腰のこった部位に並べて載せ、体調が良くなった経験から鍼灸の修行と勉強を始め、お灸名人と呼ばれるほどの人になりました。

石がなければ、例えば「小豆を入れた布袋」を使い、硬くなった背中や腰の筋肉、または目を温めると良いですね。

この場合は、経穴はあまり気にせず、こったところにしましょう。

こういう方法を「温灸」ともいいます。

「ペットボトル灸」
これも温灸のひとつです。

ホットのペットボトル飲料がありますね。
あれは「耐熱ペットボトル」ですので、これを使います。

熱いお湯(熱湯は熱すぎる)を、耐熱ペットボトルに入れてキャップをする。
それを靴下に入れたり、タオルで包むなどして熱を緩和させ、腰や背中、お腹に乗せて温めましょう。
目に乗せれば、眼精疲労にも良いです。

西宮で仕事をしていた時、これをやるように指導したPMSの女性は、寝る前に実践し、かなり改善しました。

「急須灸」
これは、中国人中医師に教わった方法です。

急須灸

中国茶では、とても小さな急須をよく使います。
その急須に熱い湯を入れます。

ヘソの中に「塩」を入れて盛り上げ、その塩の上に急須を乗せて温めるという方法です。

ただ、塩を使うと後片付けが大変ですので、無くても構いません。
その場合、ヘソの上に厚く畳んだ手拭いやガーゼをヘソの上に置き、その上に湯をいれた小ぶりの急須や、安定感のある茶碗を乗せて加温してください。

ただ、塩は熱をよく吸収して保温するので、かなりお腹の中が温まります。
料理で、肉や魚を塩で包んで焼くという調理法がありますね。
あれも、塩の特性を利用した方法です。

試してみたい方は是非!!
その場合、まず薄手の布、ガーゼを乗せ、そこへ塩を盛ってヘソにも押し込み、急須を乗せましょう。

終わったあとの処理がしやすいですよ。

他にも色々と代用は可能ですので、ご自宅にあるもので工夫してやってみてください。

あと、どのタイプのお灸でも、実践するときは「熱が身体の中に心地よく染み渡ること」を目安にしてください。

普通のもぐさが手に入るなら、それでしっかりお灸をしてください。

あとは「足湯」です。

足湯

新型コロナウイルスがあろうが無かろうが、お灸は身体を強くしてくれるので、ぜひとも実践してくださいね!