2024年6月11日~19日にかけて、ポーランドの首都ワルシャワへ和気香風の山本浩士が出張へ行ってきました。
和氣香風と提携関係にある「NipponMED」主催の、日本伝統鍼灸術を教えるクラスにおいて、今回その一期生が卒業試験をするため、技術監督および特別講習をして欲しい、と招致されまし た。
11日の22時半頃に成田を飛び、12日の朝5時半頃(現地時間)にワルシャワへ到着。その場で主催者のオスカーと再会。
彼と会ったのは2019年のジェノバ講習が最後で、ポーランドで会ったのは2017年9月の講習会が最後ですので、私がポーランドへ行くのも約7年ぶりでしょうか。
コロナ騒動がなければ、この期間にも行く予定だったのですが全て流れました。しかし、結果的にそれでよかったと感じています。
コロナ禍の数年間は、お互いに基礎力、地力を強化して、知識と技術を整理および研鑽する時期だったと思います。
今回の出張では、この数年で磨いてきたこと、整理した知識を伝えてきました。
到着翌日の13日は、ワルシャワ市内にある鍼灸院へ行き、そこで生徒さんたち(総勢6名)と挨拶をして、臨床研修を開始しました。
5名のポーランド人が各地から来られて、みなに説明をしながら治療をおこないました。
生徒さんたちは、既に理学療法士や助産師などの医療従事者であり、何年もの臨床経験があります。
彼らが治療している患者さんが来られた、そんな感じでした。
彼らも、日本人による日本式の鍼灸治療を見る経験は少ないので、興味津々で見学されました。せっかくなので、治療技術や道具も変えながらいろんな技法を見せることにしました。
其の夜、市街地から車で1時間半ほど離れたのどかな農村地へ移動。
ポーランドというのは「平らな大地」という意味だそうで、南部以外はほぼ山がなく真っ平です。
道中も、本当に平らな地平線を見ながらドライブを楽しめました。本州に生きていると絶対に見ることが出来ない景色です。
とても感動的でした。
1時間半後。
たどり着いたのは、17世紀ごろの荘園領主の邸宅です。
今はここを改装し、ゲストハウスのように貸し出しているそうです。
ここを管理されているホストファミリーのご家族が本当に良い人たちで、あり得ないぐらい丁寧でステキなおもてなしをして頂きながら、ここで3日間過ごしました。
卒業生たちも皆ここで寝泊まりし、いわゆる「合宿」状態で卒業試験および特別講習を行いました。
生徒さんの1人が、このホストファミリーと懇意のようで、今回の合宿が実現したようです。
朝昼晩、本当においしいポーランド料理を振る舞っていただきました。
日本人はまだポーランドへ行く人は少ないですが、ぜひポーランドへ行ってみてください。 日本にはポーランドレストランがほとんどありませんが、食べればきっとお口に合いますよ。
14日~16日の昼まで、この地で日本伝統医学の歴史、哲学、鍼灸理論、技術などを教えました。卒業試験(筆記と実技)も行い、みんな無事に合格!
最終日に卒業証書と記念品の贈呈をおこなって終了しました。
その夕方、三日間の合宿を終え一路ワルシャワへ。本当に素晴らしい滞在でした。
17日は、また市街地の鍼灸院での臨床研修。
また4名ほどの患者さんが来られ、いろんな治療技法を見せました。
肩こり、不眠、前十字靭帯損傷、慢性腰痛、子宮内膜症、その他いろいろ。
2回の臨床研修では、状態や体質に合わせた治療法を見せました。
その後の報告では、今回の研修と合宿で学んだことを駆使し、毎日の仕事に役立てているそうです。
そうして、その効果は今まで考えていたものとは異なるレベルだったそうです。
彼らは、今回の研修は今までの世界観を破壊するのに十分すぎる内容だった!と喜んでくれました。
そうして、それが仕事に役立ち、ポーランド人の役に立ち始めているのだから、これほど嬉しいことはありません。
研修後の夕方と、翌18日は、ワルシャワ在住の生徒さんたちが、市内観光に連れて行ってくれました。
其の時に、たくさんの話を聞かせてくれました。ポーランドの歴史は悲しいものが多いです。
近代では、ナチス、ソビエトによる支配と虐殺と破壊に耐えた歴史ともいえます。美しい博物館へ行くと、其の当時のものもたくさん展示されていました。
中には「空っぽの額縁」がたくさん飾られていました。
これはナチスに全て持って行かれたものだと言っていました。
そういう歴史を乗り越え、経済的にも成長をし、EU加盟国として少しずつ経済力、国力を高めているところです。
まだまだ不安定なところは沢山あるようですが、今から作り上げるという未来があります。其の過程で、日本の伝統医学がポーランドで認められ、彼らを救う医療の一つになってくれれば、これほど嬉しいことはありません。
和氣香風は、今後もポーランドとの交流を続け、彼らのサポートを続けていきます。