股関節付近の激痛と鍼灸治療

股関節あたりが激痛で歩くのもつらい!!
そういう相談を受けて、鍼灸治療を施しました。

話を伺うと、指定難病疾患を患ったことでステロイド治療を受け、命が助かったということです。
その後、股関節周りに痛みが出はじめるも、病院の検査ではその原因が掴めず、紹介を受けて和気香風へ来院されました。

まず動作確認、徒手検査をしましたが、かなり痛みが強く、あまり股関節を動かすことができません。歩く時も、痛みのある側の足は、ほぼ動かせそうもありませんでした。

ひとまず、股関節にアプローチするように手技療術をしました。
足底から膝、股関節、骨盤、腰椎・・・と力を伝達させ、動きの連鎖を誘発させていきます。
徐々に股関節も動き始めるも、かなりの激痛がありました。そこで、局所を含めた、下肢への鍼をしました。

和氣香風では、基本的に置鍼や電気鍼はしません。
経穴の反応点、圧痛点を見つけ、そこへいつもより筋層の深いところを狙って鍼を打ち込み、術を施し、手応えがあったら鍼を抜き去ります。30分ほどの施術と終えると、激痛は少し緩和し、なんとか歩いて帰れるようになりました。

翌週、もう一度来院されました。
やはり、激痛が続き辛いようです。前回と同じように鍼灸治療を行うと、やはり痛みが減り、歩きやすくなると言って帰っていかれました。手応えとしては、もう少し痛みが減っても良いはずなんですが・・・なんとも不思議な手応えです。

その後、その方の痛みの原因が判明したと連絡をいただきました。大量ステロイド治療の影響で、骨頭壊死を起こしていたそうです。
「突発性ステロイド性骨頭壊死」と言います。
ステロイドとの因果関係ははっきりしていないものの、ステロイド投与によって骨への血流が障害されて骨壊死が生じるというものです。
そうなれば、外科手術で壊死部分を取り除き、場合によっては人工関節に置換するという処置を取ることになるでしょう。

あの激痛の意味、施術での手応えの意味などがわかりました。
2回の鍼灸治療で、この方の症状を取ること、壊死を改善させることはできませんでしたが、ご家族の話によると、鍼灸治療のあとはなぜか自然に痛みが楽になると驚かれていたそうです。

現代医療でできること、鍼灸や漢方薬でできること、それぞれの得意分野があります。優劣を競ったり、言い争うのは意味がありません。
今後も、漢方薬と鍼灸治療の専門家として、難病や未知の病を含めて、皆様の心身の悩みや辛さのサポートを続けていきます。