肘頭骨折に対する漢方と鍼灸治療

骨折で鍼灸院へ来る方はいませんが、病院での治療のあとで回復を早めるために来られる方はいます。
鍼灸は、傷ついた組織の治癒を早め、あるいは手術後の痛み、関節の拘縮、そういった症状の改善に役立ちます。

今日は、そんな骨折の症例をひとつ。

【肘関節の骨折の例】

3月に、ちょっとしたことで肘の骨を骨折し、病院で手術を受け、折れた骨をプレートで固定されたという方が来院されました。
どの骨かは覚えていないようですが、手術痕から、尺骨頭を折ったのだろうと推察。
実際に、ときどき小指側(尺骨神経支配領域)にピリッとした痛みが出るようです。

今は、週に数回のリハビリを受けているそうですが、もっと早く回復・改善するなら・・・ということで来院。

〜1回目〜

動作を確認すると、肘の屈曲角度は90度、伸展は100度(180度伸展を基本した場合)ぐらいでした。
肘頭の骨折なので、そこに付随する上腕三頭筋や、それに拮抗する上腕二頭筋なども動きが硬くなり、肘関節の軽度拘縮も見られます。

まずは、関節の動きを改善させるための徒手療法。
これだけで、屈曲伸展ともに可動域は改善します。
その後、手術痕と骨折をしたあたりに鍼とお灸。

動作確認をしてもらうと、最初よりスムーズに動くのと、肘が曲げやすくなったとのこと。
自宅での施灸指導をして終了。

 

〜2回目〜

4日後に、漢方相談と鍼灸のため来院。

初回の治療のあと、病院のリハビリで理学療法士に「前より随分良くなっていますね!」と驚かれたそうです。
指示した通り、毎日の自宅施灸は続けられているようです。良い感じですね。

初回同様、まずは動作確認。
自力運動では、やはり前と同じような関節可動域。

ただ、多動的に動かすと関節は前より深く動きます。
関節の動きを確認しながら、手首を操作していくと肘の角度も変わっていきます。

次に、手術痕上に鍼と灸。
そのあとで、もう一度肘の操作。

まだまだ可動域は甘いですが、ご本人も自覚されるほど屈曲と伸展の角度は変わりました。
(180°伸展基準で、おおよそ屈曲は90°→110°、伸展は100°→140°)
漢方薬は、血流を促進させ、痛みなどを軽減させる処方を出しました。

近々、病院でのレントゲン検査があるというので、結果が楽しみですね。
今後もしばらくは、病院での治療、リハをきっちり続けてもらいながら、毎日の自宅施灸、週一程度の鍼灸に来て頂ければベストです。

近年では、大学病院や大きな整形外科などでも、鍼灸が取り入れられはじめています。
治療期間、治癒期間の短縮が見込めるでしょうし、さまざまな後遺症の予防も期待されます。

和氣香風では内科疾患の相談が多いのですが、こうした整形外科疾患、スポーツ疾患にも強いのでご相談ください。