循環無端

旅する鍼灸師の山本浩士です。

先日、妻と一緒に「鬼滅の刃 無限列車編」を観に行ってきました。

素晴らしい作品でした。

ストーリーもでしょうが、その作り込みに驚きました。
並の実写映画を観るよりも「映画を観た!」という感じの残る映画でした。

劇場で観る価値のある、IMAXで観ても充分価値のある作品やと私は思いました。

「アニメだから」「子供の漫画だから」と侮るなかれ!ですね。

 

《意識の集中》

そんな鬼滅の刃を観ていると、主人公が腹を刃物で刺されて出血するシーンがありました。

その出血を止めるために、呼吸を調え、意識を体内に集中させ、出血している血管に集中して止血させる、というものでした。

実際、鍼をする時に必要なのは、
姿勢を調え無駄な力を抜く
呼吸を乱さず深く均一の呼吸をする
意識を集中させ目的の場所へ届ける
ことです。

武術では「心意気力 合一集中」と教わってきました。

鬼滅の刃やるやん!!と思わされたワンシーンです。

 

《気が流れないと劣化する》

最近、スマホで音楽を聴くため、アンプを使う機会が減っていました。
先日、やはりアンプを使おうと思って起動させると、機械は動いているけど音が鳴りません。

使ってないからですね。

配線部分を掃除して、繋ぎ直すと音が流れてくれました。

道具と言うのは面白いもので、しばらく使っていないと劣化するんですよね。
金属なら錆びたり、木製品ならカビたり、ゴムならボロボロに・・・
逆に使いすぎて酷使させても劣化します。

・使いすぎ
・使わなさすぎ

どちらも劣化スピードを早めます。

自宅近所に、大きな家があります。
引っ越してきた当初は、人の出入りもあり、庭も手入れもされていました。
古いけど、立派なお宅でした。

ある日を境に、人の気配が弱くなりました。
今まで見かけた家人も見かけなくなりました。

誰かが住んではいるようですが・・・今までのような感じではなくなりました。

あっという間に庭はジャングルになり、壁もひび割れ、木戸もボロボロになってしまいました。

人が住んでいる家は生きています。
空気も流れ、気も流れるからでしょう。

劣化はしても経年劣化です。
こういう道具は味があり、長持ちします。
手入れされているからです。

住まなくなると、気の流れが滞るのか、本当にあっという間に劣化します。

家には家の気の流れがあり、「家相」という相に現れます。
土地や街にもあります。
栄える街にはそういう気の流れが、廃墟には廃墟の流れがありますね。

風水というのも、同じ事です。

これは肉体も同じでは無いでしょうか。
血液やリンパ、神経の流れもあれば、経絡や経筋の流れもありますし、もっとシンプルな気の流れもあります。

古典では、水は流れているから腐らず、扉は開閉しているから錆び付かないと表現されます。

流れなくなれば病気になり、筋肉や関節を動かさなくなれば痛みや痺れ、変形を生じさせることでしょう。

和氣香風では、末期癌や不妊症、難病の相談が少なく無いのですが、四診を進めていくと、心身の不調和、流れの悪さに気づかされます。

《鍼と灸で疏通させる》

和氣香風の鍼はシンプルです。
難しい理論は特に無いです。

経絡治療とも違うので、特に経絡云々も言いません。
現代生理学の理論というわけでもありません。
かと言って、それらを無視しているわけでもありませんし、使わないわけでもありませんが、そこにこだわっている訳でもありません。

どの視点から観ているのか?
という違いがあるだけで、西洋医学も東洋医学も「人を見ている」ことに違いはありません。

例えば「食べ過ぎ」「飲み過ぎ」から来る疾患の場合は、炎症などを起こしやすいでしょうし、そこを意識していない場合、うまく使えていない場合は、例えば不妊症や腫瘍、神経の麻痺などを生じさせるかも知れません。

内外
表裏
虚実

この繋がりはうまくいってるのか?
ここを大事にしています。

《自分の身体に意識を向ける》

どのような病気、痛み、痺れであっても、自分の身体なので自分で治せるものです。
むしろ、自分の体が治してくれるのが当たり前、ということです。

例えば「免疫」「治癒力」がそうですね。

なんで病気になるか?
肉体も道具と同じですので、酷使させたのか、逆に使ってなかったのか、をまず考えてみましょう。

思い当たることがあれば、そこを改善させましょう。
使いすぎなら休め、使ってないなら使いましょう。

そのために必要なのは「集中する」ことです。

患部に軽く手をあて、そこの奥に集中し、呼吸を深め、意識と呼吸がそこに届く・・・ということを「実感」すると良いです。

上手く行くことばかりではありませんが、流れを回復させ、心身の繋がりを取り戻していければ良いですね。

肉体も道具や家屋と同じようなものだと考えれば、色々と気付くことも多いものですね。