テレワーク時代の養生法

鍼灸担当の山本浩士です。

オンライン化が進み、世界は色々と便利になりました。
職種によっては、パソコン一台、スマホ一台でも仕事が出来るようになり、カフェでも自宅でも仕事が可能な時代です。

やがて「テレワーク」を推奨する動きが出てきましたが、日本ではなかなか広がらなかったようですね。

ところが、新型コロナウイルス騒動が起きたことで、多くの企業、個人店などでも「在宅ワーク」「テレワーク」に踏み切ったところも多いことでしょう。

医療の仕事でも、検査や手術・施術など対面でなければならない事もありますが、問診などはオンラインでも可能となりました。
そういうクリニックも増えています。
在宅ケアのあり方も、これから変わっていきそうですね。

和氣香風でも、漢方薬の相談に関しては「オンライン漢方相談」の利用を勧めています。

もちろん、対面に比べると情報量が圧倒的に減ってしまうので、「弁証」するにも難しさのあることは否めません。
写真で見る舌と、実際に見る舌にも違いがあります。
オンラインでは、脈診も腹診も動作チェックも出来ません。
メールやラインを駆使しますが、そこから得られる情報は限定的です。

しかし、オンラインの良さもあるので、オンラインで対応出来ることはそこで対応していきたいと考えています。

新しい時代の働き方ですね。

《仕事で心身を追い込まない》

「緊急事態宣言」前後から、ジワジワと増えてきたのが「在宅ワーク疲れ」を訴える方々です。

「鬱病」や「パニック障害」と診断された方々も出てきました。
そういう方の話を聞くと、だいたいが「仕事と休みのオン・オフができない」ということです。

その気持ち、痛いほどわかります。

私は、大学を卒業してすぐに独立(自営)しました。
当時は「芸能の仕事」をしていまして、「仕事を作らねばならない!」「もっと仕事をして稼がねばならない!」と、頑張っていました。
そうして、ドッと疲れが出ました。

鍼灸師になり、兵庫県で開業した時も、「少しでも長く院を開けておかねば!」という、なかば強迫観念みたいなものに追い立てられ、休みもなく院を開けていました。

「もう少し開けていれば、誰か一人来るかもしれない!!」なんて思いながら・・・

そうして、やはり疲れてしまいました。

鬱病と診断されたことはありませんが、もしかしたらそんな状態もあったかも知れません。
「自殺」を考えたことはありませんが、「死にたい」と言う人の気持ちはわからんでも無いです。

芸能の仕事も精神的にキツイことがあって、自殺の代わりに「すべて捨てて旅に出よう」「戦場に行って傭兵として戦って死ぬか」なんて思ったことはあります・・・

「休む暇があれば仕事しろ!!」
と、自分を追い込んでいましたからね😅

和氣香風も、開業当初は「10:00〜19:00」「定休日は月金」という方針でやっていました。

しかし、やはり無理が出たため、少しずつ時間を短く、定休日も増やしました。
そうして、仕事と休みのオン・オフをしっかり作りました。

最初は「こんなんで大丈夫か?」という不安もありましたが😅、むしろ開いてる時間に患者さんも集中するので、効率が良くなりました。

さらに今年は、感染拡大防止対策を考慮し「11:00〜15:00」と、さらに時間短縮をしました。

「いつ来ても休み」という声も聞きますが😅、そこに合わせてしまうと此方に無理が出るため、すいませんと謝っています。
ただ「予約制」にして管理をしているので、業務自体にはむしろ無駄がありません。

もちろん、予約があれば可能な範囲で「時間外鍼療」「休日鍼療」は受けています。
しかし、漢方相談は「オンラインが可能」なため、そこは無理せずにオンラインで相談を受けています。

気をつけているのは、オンライン相談は「曜日も時間も関係なく届く」ので、その対応は無理が無いようにしています。
その辺の改良は、今後の課題です。

休みの時は休む!
仕事の時は仕事に集中して、パッとやって終わればサッと帰る!

この方が、肉体的にも精神的にも楽ですし、なによりも仕事効率があがっています。
面白いですね。

《集中力》

人間の集中力なんてものは、たかだか知れています。

細かく観察すると、本当の意味で「集中」できる時間は「1秒未満」です。
これは、そういう訓練をすればするほど「集中できていない」ことを思い知らされます。

鍼をしていると、このことをよく感じます。
ひとつ鍼を打つときに続く集中力なんて一瞬です。
治療全体を通しても、本当に集中できている時間なんて短いものです。

「治療は20分以内で終わらせる」
これが今の私の基本です。
私レベルでは、これが集中できる限界です。

それ以外の時間は、患者さんと雑談をしたり、動作チェックをしたり、他のことをするのでもう少し時間が伸びますが、鍼そのものは短い時間で終えていますし、結果を出しています。

普段は、集中している範囲が広く、その中で集中が動いているため、集中状態が持続しているように思っています。

例えば、映画を観るのと似ています。
映画を観ることには集中していても、映像は変わり続け、音楽もストーリーもどんどん変わります。

一つの静止画だけを2時間ジッと集中して見続けるのは、想像しただけで無理ですね😆

仕事も同じです。
よく思い出してみれば、仕事中どこかで余計なことを考えたり、誰かと相談したり、あれこれ動いたり、コーヒーを飲んでみたり、タバコを吸ってみたり・・・と、色んなことをしているはずです。

「仕事」に意識は向いているかも知れませんが、実際にはそれほど「集中」はできていません。

良し悪しではなく、そもそも「そういうもんだ」ということです。
だから「集中力がない」と嘆く必要も、心配する必要も無いということですね。

職場にいると、ランチタイムもあれば、同僚と相談する時間、どこかへ行くために歩く時間、気分転換にコーヒーを飲む時間、会議の時間、電話で応対する時間・・・色んなことが複合的に行われています。

それを一つにくくって「仕事をしている」と言えるのでしょう。
つまり「必然的に適度な息抜き、気分転換をしている」ということになります。

在宅ワークになると、もっと自由やんか!!と今の私なんかは思ってしまうのですが、なかなかそうもいかないようです。

・ご飯を食べながら仕事をする
・お茶を飲みながら仕事をする
・誰かと話すこともなく仕事をする
・外に出ることもなく仕事をする

意外と多いようです。
むしろ、職場ではそんなことまずしないでしょう。

「在宅だからこそ、仕事以外のことをするとサボっているように感じてしまって・・・」

という心理が働くようです。
とても「真面目」な日本人らしい話です。

仕事と休みの区別がなく、職場と家の区別もない。
外出自粛で外にも出ず、密を避けるため人にも合わない。

そんな状況で、「仕事頑張れ!!」と追い込むと、それは肉体的にも精神的にも疲弊します。

以前、「糖質スパイク」のことを書きましたが、当然起きてくるでしょうし、そのレベルを突き抜けて「鬱」「パニック」になってもおかしくありません。

食後の眠気は脾の弱り

今後はますます「コロナ疲れ」「コロナ鬱」なんてのも増えるんではないか?と心配しています。

それこそ、免疫機能も低下するので、風邪をひきやすくなるかも知れません。

せっかくコロナ対策をしていても・・・本末転倒です。

《在宅ワークこそ短期集中》

仕事を頑張ることは良いことですが、無理やり頑張っても良い仕事にはなりません。

疲れるほど、逆に集中力が続かないはずです。

集中力が続かない状態で仕事をしても、逆にミスが増え効率も悪い!と、私なんかは思ってしまいます。

集中力を欠いた治療なんてロクでもないですし、医療過誤を引き起こし兼ねません。
だから、一気に集中して、残りはリラックスする。
これが一番です。

仕事の作業だけに集中するなら「4〜5時間程度」で良いと考えています。

10時くらいから始め、14時頃には終えてしまう。
もしくは15時には終え、あとは仕事から完全に離れて好きなことをする!!

これが一番では無いでしょうか。

もしくは、合間に2時間ほど昼寝したり、外にお茶しにいく時間を持つことです。

適度に運動するのも良いですね。

こうして「仕事と仕事以外のメリハリを作る」こと、これがテレワーク時代に必要な仕事のあり方ではないかな?と思います。

《古代の養生観》

漢方医学で有名な書に「黄帝内経」があります。


その中の「上古天真論篇」から抜粋してみます。

上古之人、其知道者、法於陰陽、和於術数、食飲有節、起居有常、不妄作労。
故能形与神倶、而尽終其天年、度百歳乃去。
今時之人不然也。
以酒為漿、以妄為常、酔以入房、以欲竭其精、以耗散其真。
不知持満、不時御神。
務快其心、逆於生楽、起居無節。
故半百而衰也。

簡単に翻訳すれば、

昔の知恵者は、物事の道理をよくわきまえ、自然の法則を理解し、暦や科学もよく知り、飲食に節度を保ち、寝起きにも節度があり、無理な労働をしないもの。
だからこそ、肉体と精神その能力を発揮し、100歳を越える長寿を保っていた。

今時の人はそのことを全くわきまえていない。
水を飲むように酒を飲み、妄想を普通と思い、酒に酔って欲望のまま性行為をし、無闇に気力も精力も消耗させてしまう。
充電することもせず、時間も関係なく精神を消耗させていく。
心は快楽をむさぼり、養生を行わず、寝起きにも節度がない。
だから50歳にもなれば死んでしまう。

というようなことが書いてあります。
昔も今も、人は大して変わっていないということですね。

《情報は選ぶ》

古典の時代と違い、今はとにかく「情報」が多いです。
それも「人為的な情報」が大半です。

「空を見ると雨雲が見えた」
これも一つの情報ですが、精神的に追い詰められる情報ではありませんね。

ネットが発達し、検索すればいろんな情報が手に入ります。
このコラムもそうです。

でも、こういうものは「人為的」「作為的」であることを忘れてはいけませんね。

本当に必要な情報は、必要なときに勝手に入ってきます。
何も、自分から率先して情報を集めようとする必要はありません。

自分で「情報精査」できる人は良いのですが、多くの人は得た情報に操作されてしまいます。

「SNSで誹謗中傷の書き込みを読んで辛くなった」
なんて人も時々いますが、それこそ情報操作された典型的な例です。

ネットやテレビの情報の大半は作為的です。
良し悪しは関係なく、そもそもそういう世界です。

「SNS疲れ」なんて言葉もできたほど、その世界は面倒です。
言論の自由は結構ですが、あまりにも酷いものが増えているように感じています。

ちゃんと情報を選べないと、酷い目に合います。
新型コロナの件も同じです。

仕事も同じです。

・仕事は仕事、休みは休み、と区別をはっきりさせる
・在宅仕事は特に短期集中させて終わる
・人間そもそも集中力はないので、無理に追い込まない
・情報は無理に取りにいかない
・情報は精査するもの
・ネットやテレビの情報は作為的
・SNSはマジメにやらない
・昼寝をする
・楽しく食事をし、暴飲暴食は避ける
・趣味を持つ
・心許せる友達と遊ぶ
・夜はサッサと寝る
・適度に身体を動かす
・何事も過度に心配しない

挙げればまだまだ出てきますが、テレワーク時代の養生法はこういう感じではないでしょうか。

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